菌のはなし

ウイルスによって、生きものは進化する その1

ウイルスはとても悪いものだといわれていますが、そうじゃないという話をします。

これは福岡伸一教授の話を引用しながら、この話をしないといけないのですが、ウイルスというのは、もともと人間の体から出たものです。だからウイルスは人間の遺伝配列と非常に似ていて、そのウイルスは断片として外に出ていき、いろんなものを媒介し、仲立ちして戻ってきたものだと。人間の体の中に入ってきて感染を起こすというのは、むしろ正常な生物世界の現象であって、それによって人間や動物などの生き物は、進化してきたのです。

たとえば人間には〝p53〟という遺伝子があり、それが欠けやすいとガンになりやすい、といわれています。その人たちに向けて人工的に製造されたp53を体内に送り込む技術が考えられました。遺伝子にウイルスを入れ込み、感染させることによって、DNAの中に遺伝子情報として残り、ガンが抑えられる。

これってダーウィンの進化論だけでは、ぜったい答えが出てこなかった考え方です。テクノロジーがこれだけ進み、空気のように存在するようになった現代だからこそといえます。