菌のはなし

砂場が危ない

殺菌された砂場が危ないこと、ご存知ですか。猫がフンをしたり、いろいろな菌が繁殖して汚いからと、砂を殺菌するわけですが、その無菌状態になって清潔になったあとの砂場で、何が起こるか。

人間がその砂に触れることで、人間の体についている菌が砂に移ります。目には見えませんが、人間の体は菌のかたまりで、危険な菌もいれば、いい菌もいる。だけど無菌になったまっさらの砂場には、敵となる菌もいないので、繁殖力の強い菌がそこで幅をきかせ、爆発的に増えていくのです。その結果、逆にそれが人を攻撃し、傷つけられることにもなりかねません。

無菌状態にすると、それまでうまく共存していた無数の菌のバランスが崩れ、しょっちゅう殺菌をしないといけなくなくなってしまいます。あるいは無菌状態にして、仲間外れをつくっていくと、そこで悪さをする菌がかならず出てくる。で、その菌がとんでもないことをする、それがおそろしいことになります。

山の土を人が触っても、なんの問題も起きないのは、無数の菌の相互関係でうまくバランスが取れて成り立っているから。菌も人間と同じ生命体です。人間は菌があるから生きていけるわけで、その中においていい菌、悪い菌の判断はできません。すべては相互関係で成り立っているのです。