音のはなし

雑多な音に囲まれている必要性

メディカルジャーナルに掲載されていた英語の論文によれば中国の富裕層が増え、その富裕層の親たちは子どもたちを特別室に入れるようになり、精神疾患を患う子どもが多くなったと。その原因を調べていくと、どうやら音が問題で、これはまずいことだと、医者が連名で書いています。

話は変り、新生児を静かなところに入れると、新生児はすごい不安になって泣きます。でも、ほかの赤ちゃんがワーワー泣いているところに入れると、安心したかのように静かになって寝る。あるいは、赤ちゃんを抱っこしてファミレスに行き、ガヤガヤとうるさい中で注文した料理を待ち、さあ食べようとなった一番肝心な時に寝ていて、家に帰って静かな部屋に寝かそうとしたとたんに、ワァーと泣き出す。

また、学生時代に経験した人もいるかと思いますが、静かな図書館より、授業中、先生の声を聞きながら居眠りするほうがはるかに心地よかったのも、そこにいろいろな音があったからです。つまりバックグラウンドノイズがあることによって、人間の体はうまくバランスをとり、精神を安定させていたのです。子どものためと思って静かな環境を用意しても、じつは真逆なことをやっている。雑多な音の存在こそ、大事なのです。