希望の街②

『軒の教会』と呼んでいる東八幡キリスト教会ですが、ここは軒の下が最初にあって、軒の下はいわゆるフリーパスの場なんです。少し中に入るとトイレと、教会の人たちがいるような場があって、そこは中でも外でもなく、何かあったら人の話を聞いてくれるような場がある。ちょっと困っている人が来たら、奥田牧師さんが「私が、話を聞きますよ」と相手をしてくれる。その先に行くと教会があって、教会というのはコミュニティでね、礼拝堂がある。さらにその奥はシェルター、ここは完全に個人。自分だけの空間から、だんだん大きな空間のグラデーションというのがある。そこで大事なのは、どちらでもない間の空間だと思うんです。

今度、北九州市でつくろうとしている『希望の街』というプロジェクトですが、『希望の森』にしょうかと。森って入口がないでしょ。道の入り口くらいはあるかもしれないけど、いろんなところから森に入って行き、だんだん深くわけ入って行くと、プライバシー感が次第に高まっていく。なんか、そういう森のような場所をつくりたいと、思っていて。

それで、『希望の街』やろうとしているのは、外に誰でも来るようなカフェがあって、その向こうはボランティアの人たちが活動できるような場、その先は福祉活動のプロフェッショナルな人がいる場にしょうと。そういう人たちが本気で、自分たちでどうやったら社会がよくなるか、実際に活動する場所があって、その奥には施設の人たちが、ひとりになれる空間がある。それらがゆるやかにつないでいく関係というのが、ものすごく大事だと思うんです。これが日本の社会では、なかなかできなくなっている。今はプロだけの世界でできあがって壁がある。で、ここから先は「秘密の花園」「守られた安全な場所」。じつは、それってものすごくおかしい。社会とシームレスに繋がっていることが、いわゆるそれがコミュニティデザイン、それを『希望の町』プロジェクトで、やろうとしているんです。