育った家のはなし 由比編

由比
父が建築家だったんで、父が設計した家で生まれ育ちました。平屋で、部屋ごとに段々と斜めに上がっていく構造の家で。それで家の中と外がベランダを返して、ぐるぐる走り回れて、小さい頃そこで遊ぶのがたのしかったですね。

私の部屋はリビングの下にあって、トントントンと階段を上がりながらベランダにも行けて、そのベランダに足を出して座り、よく足をブラブラさせながら本を読んでいたのを覚えています。なんとなく外で過ごすのは気持ちがいいなあって。今に通じる、そういう感覚は当時からありました。

兄と私の部屋は別々で、私の部屋はリビングと障子1枚で仕切られ、リビングの音が全部聞こえてくるんです。父がずうっとテレビを見ていて、うるさかったけど、なんとなく家族の雰囲気がいつも隣にあって、自室にこもるとか、秘密をもつとか、そういうこともなく育ったんで、やはり部屋のつくりとかは、子どもの性格に影響するんだなって。

あと縁の下があって、そこに入り込んで遊んだりしました。そういう子ども時代を過ごして、なんとなく、気持ちがいい場所というのは、こういうところなんだなっていうみたいのが、子どもの頃にすりこまれ、それがずっとつながっている感じです。

貴晴
由比の育った家はおもしろくて、斜めにせり上がっているんだよね。それで、下のところを抜けられて、グルグル回れるとか。そういう身体的な心地よさを、子どもの時に知っていたんだろうね。