ほんとうの豊かさ②

物事を語る時、さっきの温度の話で、人間の快適な温度は18~28℃、26~28℃と言っている限り、答えなどわからない。その時、湘南の海がいい。渡嘉敷の海もいいよね。渡嘉敷の風、最高だよね。前を見ると、きれいな青い海が広がって、そこでソーキそばもあるんだよ。そこにいた時の気温は35℃、暑いよね。湘南もいいかもしれないけど、道路がある。渡嘉敷よりちょっと気温が低い。まあ、それだって32℃くらい。どっちを選ぶかというのは、物事の関係性ですよね。温度というのはそういうもので、なんでもそうだっていう話をしていて。

バーベキューって外で焼いても、家の中で食べると不味いんですよ。蓼科で別荘をつくった時、バーベキューパーティをしていて、そう思いました。冬で、寒いから中に入って食べたら、イマイチだなって。ところが外で食べると、同じものでも、うまい。みんなで食べるバーベキューは、たとえようもなく、うまい。そういう、いろんなものとの組み合わせの中に人間がいて、暑いとか寒いとかは、そこで起きていることで、料理の味は、そういうものと全部関係しているんですよ。

さっきアマンリゾートの話をしたけど、半年前くらいかな、コロナ禍で家に閉じ込められているのが嫌になっちゃって、星のや富士のグランピングに行ったんです。グランピングなんだけど、宿泊するところは、すごくしっかりしたいい部屋で。料金も割と高いところで、だけど、お金をいっぱい払ったお客さんたちが、どこにいるかって、ドテラを着て「寒いね」と言いながら外でバーベキューをしているんですよ。雪が降る中で。おもしろいなって。だから人間って、その温度で快適さを計れるものじゃないですよね。

そこは、外でご飯を食べるところがあるんです。冬だったから、テーブルが炬燵になっていたりして。寒いのに、そっちほうがたのしくて、みんな外で食べている。室内にレストランもあるんですけど。夏より冬のほうが人気だと聞きました。意外とみんな、寒い中でアウトドアをたのしんでいる。気候がいい時に行けばいい、というのではなくて、人間は、いろんなたのしみ方ができるんだなって。